スクフェス札幌2021の講演でお勧めしていた「他者と働く(わかりあえなさからわかる組織論)」を読了。
非常に読み応えのある内容でした。
以下纏めてみました。
問題は2種類ある
- 技術的問題・・・既存の知識・方法で解決できる問題
- 適応課題・・・既存の方法で一方的に解決できない複雑で困難な問題
この「適応課題」を解決するために日々苦労している。
適応課題の解決方法として「対話」がある。この本では対話を「新しい関係性を構築すること」としている。
人間同士の関係性は2つ
- 私とそれ(道具的な関係)・・・人間でありながら向き合う相手を道具のようにとらえる関係性のこと
- 私とあなた(固有の関係)・・・相手の存在が代わりのきかない関係性のこと
適応課題は大きく4種類
- ギャップ型・・・大切にしている「価値観」と実際の「行動」にギャップが生じるケース
- 対話型・・・互いの「コミットメント」が対立するケース
- 抑圧型・・・言いにくいことを言わないケース
- 回避型・・・痛みや恐れを伴う本質的な問題を回避するために逃げたり別の行動にすり替えたりするケース
共通しているのは、人と人、組織と組織の「関係性」の中で生じている問題
適応課題が生じたときには関係性を改める必要がある。
まず相手を変えるのではなく、こちら側が変わる。これをナラティヴ(解決の枠組み)という。
対話のプロセス
- 準備「溝にきづく」
相手と自分のナラティブに溝(適応課題)があることに気づく - 観察「溝の向こうを眺める」
相手の言動や状況を見聞きし、溝の位置や相手のナラティブを探る - 解釈「溝を渡り橋を設計する」
溝を飛び越えて橋が架けられそうな場所やかけ方を探る - 介入「溝に橋を架ける」
実際に行動することで、橋(新しい関係性)を気づく
対話の罠
- 気づくと迎合になっている
- 相手への押し付けになっている
- 相手と馴れ合いになる
- 他の集団から孤立する
- 結果が出ずに徒労感に支配されている
間接部門との適応課題の例がわかりやすく、上手くいかない理由が言語化されていてしっくりきました。
手元に置いておきたい良本です。